黄金伝説
〜１ヶ月（？）監禁生活３日目〜
L「月くん あくまでも月くんはキラ 弥は第2のキラとしてこうしているんです
弥の事を月くんに話す訳にはいきません」
月「なんだ厳しいな 僕もキラと第2のキラの正体をつかむ為にこうしているのに」
相沢と松田は複雑そうに監視カメラに映る光景を眺めた。
ここ2日何だかアホな事をして過ごしてきたので実感が無かったが、
報道された犯罪者は誰一人死んでいない。
しかし、ここまで来ると月に疑念が湧いてくる。
まさか、本当に月くんがキラなのか…？
松田「局長…お気の毒に…」
相沢「松田…言うな…」
松田「僕もう、何が真実で何が嘘だかわかりませんよ…ドラえもんの道具があれば…」
相沢「そこでドラえもんに頼ろうとするお前の方が俺は気の毒だ」
松田「いや、ドラえもんがいたら便利ですよ！人の心まで操れたりするんですよ!?」
相沢「…結構ドラえもんの道具って人権侵害も甚だしいな…」
L「大丈夫です。我々にはワタリがいます。おざしきつりぼりだって再現できますよ」
相沢「何故よりによって『おざしきつりぼり』!!?微妙にマイナーだな!!?」
松田「うそ８００（エイトオーオー）には感動したなぁ…
そういえば今回嘘発見器とか使ってないですよね？何でッスか？」
L「松田さんは嘘発見器の原理がわかってますか？
嘘発見器とは血圧や脈拍、呼吸、皮膚の潤湿度を同時に計測し記録する仕組みになっています」
（注・2004年の技術です、現在はもっと進歩し脳波も調べられたハズ…いやうろ覚え）
L「しかしこの装置は嘘をつく事でストレスを感じるから効果があるんです。
嘘を悪いとさらさら思っていない人間や捕まるわけないと信じている者、
尋問に極度の緊張を示す人には期待しない方が無難です。
また、メプロバメートという薬品…精神安定薬の一種で
ミルタミンやエクワニンの名で入手可能ですが…それをあらかじめ服用すれば
素人でも回避する事ができます。他にも音声緊張分析器というものもありますが」
松田「もういいです、ごめんなさい」
相沢「お前が余計な事言うからだ」
月は黙ってこのやり取りを聞いていた。
実はさっきLと会話した時に入れたスイッチが入ったままだったのだ。
別にわざわざ教えてやる必要は無い。
後で問い詰められても
「竜崎がそんなミスするわけない、わざとかと思った」で済む。
思いがけずして手に入る情報を逃す手はない。
そんな事に気づかない松田はまた余計な事を言った。
松田「薬品っていえば自白剤って何の薬なんですか？」
L「勘違いされては困りますが自白剤は真理を引き出す効果のある薬品ではありません。
現実には『truth serum』に該当する薬品は存在しないのです。
似た物でもせいぜい抑制から開放されて色々な事を話すようになる程度です。
酔っ払いと同じなので捜査の役には立たないでしょうね」
松田「え？アルコールなんですか？」
L「アルコールの他にもバルビツール剤という鎮静剤がありますよ。
不眠症患者や精神病患者に投与され、
薬が効いてる間中個人的な身の上を喋り続ける人が続出、
暗示にかかりやすくなると言われています。
最近では死刑の時に使われ致死量を動脈注射…」
リューク「さっきから物騒な事しか話してないぞ」
月（何話してるんだよあいつら!!?）
このまま黙って聞いていて良いものか？
そろそろ止めないと僕の身が危険なのではないか？
…いや…竜崎の事だ…わざとやってる可能性もある…!!
故意に会話を聞かせて僕を動揺させようって魂胆だろ？
意地でも反応してやるものか…!!
（まだ物騒な会話をしている捜査本部）
L「そういえば、第２次世界大戦中に使われた薬もありましたね」
松田「もうそれ月くんに使っちゃいましょうよ〜できるだけ早く局長出して欲しいですし」
相沢「ところで何ていう薬だ？」
L「…Lysergic acid diethylamideです」
月（LSD!?麻薬じゃないか!!?）
松田＆相沢「へぇ〜そんな物があったんだなぁ〜」
月 (へぇ〜じゃないだろ!!LSDの本名くらい知っておけよ！お前ら本当に警察か!!?）
しかし、これもLが僕をからかってるだけかもしれない…
大丈夫だ、これ位で慌ててたまるか…！
L「でも、薬だとやはり副作用があるのでお勧めできま…せ…!
そうか、その手があったか！」
相沢「何だ？何を思いついたんだ？」
L「副作用もなく現在社会でも公然と一般的に行われ
なおかつ供述として裁判でも利用できる状況で
月くんに快楽とちょっとした痛みを与え
自白させる方法です」
松田「おぉ！で、一体何を使うんですか？」
L「私自身です」
…何だろう…とてつもなく嫌な予感がする…
L「私が月くんの所に着いたらカメラを止めて下さい」
相沢「？わかった…が、何故だ？」
L「念のためですよ。私の映像を残しておくワケにはいきませんから」
相沢「あぁ…そうだな…」
L「音声も聞かないように」
松田「は〜い でも、以前自白は期待してないって言ってましたよね？」
L「今だって期待してませんよ…
むしろ自白しない方が楽しみが長く続きますから…」
月（楽しみって何だ―――――!!?）
逮捕して死刑云々より貞操の危機を感じる。
結局黙っているわけにもいかず、音声が洩れている事を伝える月だった。
