「竜崎さん、ミサの体でケーキ食べないでよ!!太っちゃうじゃん」
「私はミサさんと違って頭を使っているから大丈夫です」
「…ってゆーかミサの姿でその座り方止めて!!パンツ見えちゃうじゃない!!」
「これ以外の座り方ですと推理力が40%減なので駄目です。
早く元の姿に戻りたいのなら、今は我慢してください」

それぞれの人物になりきれと言った張本人がそんなんでどうする…


『僕がお前で お前が彼女で 彼女が僕で(3)』


まぁ、ここにいるのは僕たちだけなのだから、今はそれ程危惧しなくてもいい。
それよりも、この異常事態の原因を探らなくてはならない。
竜崎もベストを尽くし、頭脳をフル回転しているんだろう。
僕も考えなくては…。

「…やはり頭をぶつけたのが原因か?」
「科学的に立証はできませんが、他に特別なことをしたわけでもないですし
とりあえず実験してみますか…」

その後何度か、僕と竜崎は頭をぶつけてみたが
頭部に鈍痛が走るだけでなんら変わりは無い。

「…打ち所が違うのかもしれませんね…」
「どこをぶつけたかなんて、わからないよ…」

八方塞だ。手の打ちようが無い。
もしかしてずっとこのまま…?

「大丈夫?ライト?頭痛いでしょ」
座って黙り込んだ僕に、ミサが声をかけてくる。
僕って普段こんな顔してるのかな…とぼんやり思った。
「かわいそ〜!竜崎さんが強くぶつけるから!!」
私も同じだけ痛いのですが…
「よしよし、もう大丈夫だからね〜」
ミサがしゃがんで僕の頭を抱え込むように撫でた。

すると次の瞬間、松田さんが暢気に
「ごめんなさい!おやつ間違えてスルメイカ買っちゃいました〜v
そしたら局長に会って…」などとほざきながら部屋に入ってきた。
「月…!?何をやっているんだ!!?」
父さんが驚愕している。
そして松田さんでさえ固まってこちらを見ている。
たしかにこの光景は誤解を招きそうだ。
少なくとも僕は竜崎に父の前でこんな風に抱きつかない。
事態を察した(?)ミサは
「違うよ、父さん。僕が本当に愛しているのはミサだけだ
などと言い出した。

この騒ぎに乗じて周囲公認の彼女になる気か!?

「僕の体で変なこと言うな!!」
竜崎の体!?どういう意味だ!!?」
「あっ違うんだ父さん…」
「お前に父さん呼ばわりされる筋合いは無い!!」

僕も気が動転していたのかさらに誤解を招く言葉を発してしまった。
「…では皆さん戻ってこられたようですし、キラ事件に戻りましょうか…」
竜崎が淡々としゃべった。
「あれ?ミサミサなんかいつもと違う?
「普段と変わりありません」
「いや…ものすごい猫背だし、月くんが竜崎とくっ付いてても無表情だし…ってゆーか
何で竜崎と手錠で繋がれてるの?」
「しばらくお二人のお邪魔になろうかと…」

今までの経緯はスルーして僕らはモニタールームへ向かった。
「竜崎…後でじっくり話し合おう…
父が見たこともない形相で僕に話しかけた。
絶対その時までに元に戻らなければ…。


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